私は芸大卒業後、画家になるということが現実的な仕事とは思えず
しかし花の絵を描く仕事をしたいと思っていたのでテキスタイルデ
ザイナーになりました。当時、繊維関係会社の企業内デザイナーは
企画の仕事が中心で実際に絵を描くのはデザイン事務所に外注する
ことが多かったのでデザイン事務所に就職しました。
学生時代は日本画科で植物を描いていたので仕事もなるべく絵画的
な要素のある商品を扱っている職場を探しました。テキスタイルデ
ザインの中でも1枚物と呼ばれるスカーフやハンカチーフ、寝具な
ど自分のデザインがそのまま生かされる商品が魅力でした。
スカーフなどは額に入れてそのまま装飾品として飾るような物も
ありますから。
製品化後の楽しみ
繊維会社の商品展示会に招待されて自分のデザインが製品化された
物を見たり、その商品カタログをもらったりするのが(時々実物サ
ンプルを頂けることもありましたが)すごく楽しみでした。
寝具などはテレビドラマの一場面で使われていたり冬に外出すれば
ベランダに毛布を干してある場面に遭遇したりするのも楽しかった
のです。又ハンカチーフなどの小物は旅行に行った時にお土産屋さ
んで加賀友禅ハンカチとして販売していたり、繊維会社の意向によ
り扇子など別物に展開されていたりと自分のデザインを意外な場所
で発見するのはとても楽しい出来事でした。